COLUMN コラム

2022.6.20

センスに悩むデザイナーへのおすすめ書籍「センスは知識からはじまる」

デザインセンスを鍛えるには良いものを見て目を養い、実際に手を動かしてアウトプットすることが大事だといいます。しかし、理解はしていても継続するのは難しいですよね。

特にWebデザイナーの方は、自分のデザインセンスについて悩んだり、落ち込んでしまう時もあるかと思います。今回はそんな悩みを抱えているデザイナーに「センスは知識からはじまる(水野学)」という本を紹介したいと思います。

はじめに

この本の著者は、熊本県公式キャラクターの「くまモン」のデザインや、NTTドコモ「iD」を手掛けたアートディレクター水野学氏です。

本の中で水野氏は、自身が手掛けるデザインはひらめきやセンスによるものではなく、きちんとした方法があり、時間をかければ皆できるようになる、と述べています。冒頭文でも「センスとは誰にでも備わった身体能力と同じで、センスを鍛えるトレーニングをすれば誰にでも手に入るもの」と非常に力強い言葉が記されています。

私が読んだのは2〜3年前になりますが、この本のおかげで勉強してきたことに自信が持てるようになりました。今回は本の内容から特に参考になった「センスについて」「知識の増やし方」についての概要を紹介します。

1. センスのよさとは

本の中では「センスのよさ」について、以下のように説明されています。

「センスのよさ」とは「数値化できない事象」のよし悪しを判断し、最適化する能力である。

例)「センスのいい会社」→ 業績や売上では測れない。
例)「バッティングセンスのいい打者」→ 打率だけでは測れない。

ファッションの「おしゃれ」や「かっこよさ」は数値化できませんが、その人に合っているかどうかを判断して「かっこいい!」「センスがいい!」と判断することはできますよね。「センスってよくわからない…」「特定の人に生まれつき備わっているもの」という誤解が生じてしまうのは、センスが数字で測れないというのが原因の1つと思われます。

2. センスの磨き方

2-1. 普通を知ること

「センスのよさ」= よし悪しを判断する、とありましたが実際、その判断をできるようになるためにはどうすればいいのでしょうか?本の中では、重要なことは「普通を知ること」と述べられています。

・普通とは「いいもの」がわかるということ。
・普通とは「悪いもの」がわかるということ。
・その両方を知った上で「一番真ん中」がわかるということ。

普通を知っていれば「普通よりちょっといいもの」「普通よりすごくいいもの」と、普通という定規であらゆる事象を測って、物を作り出すことができるからです。普通こそが「センスのいい/悪い」を測ることができる唯一の道具と述べられています。

2-2. 知識を得る

そして「普通を知る」ための唯一の方法が「知識を得る」ことです。ここで「センスとは知識の集積である」という本のタイトルに繋がります。

例えば「あいうえお」しか知らない人間と「あ」〜「ん」までの50音を知っている人間では、どちらがセンスがいい文章を書けるかは、言葉をたくさん知っている人間の方が圧倒的に有利です。知識があればあるだけ、可能性を広げることができると述べられています。

3. 知識を増やす方法

3-1. 王道から解く

「定番のもの」「ロングセラーのもの」について知りましょう。王道のものはその地位を確立するまでに改良と洗練を繰り返し「最適化」されています。王道のものを知ることでそのジャンルの商品を「最適化」する際の指標を得ることができます。

また、大切なのは王道のものを「ひとつに決めること」ではなく、それを見つけ出す「プロセス」にあります。そのジャンルの王道とは何か?を調べていくプロセスで幅広い知識を得ることができます。

3-2. 流行を知る

王道をおさえたら、次は今流行しているものを知りましょう。王道と流行を知ることで、知識の幅が一気に広がります。効率よく流行を知る方法はコンビニの雑誌を読むことです。知識を定期的に更新しておくことがセンスアップに繋がります。

3-3. 共通項を考える

いろいろな方法で知識を集めたら、今度はそれらを分析して「共通項」や「一定のルール」がないか考えてみましょう。これは自分なりの知識に精製するためのプロセスです。ここで見つけた「共通項」でアウトプットしたものが「センスがいい」と言われるものに仕上がります。

おわりに

今回は「センスは知識からはじまる(水野学)」について駆け足ですがご紹介しました。
私がこの本を購入した時は、まさにデザインセンスの磨き方について悩んでいる時だったのですが、この本を読んで「センスは努力で身に付く」ことを知り、自信をもってデザインの勉強に励むことができるようになりました。本の中ではさらに深く説明されているので、この記事を読んで少しでも興味が湧いた方はぜひ一読してみてください。

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