COLUMN コラム
2021.6.2
Illustratorについて~基本の使い方~
デザイナーにとって欠かせないツールの一つ、Illustratorの使い方について説明します。
目次
Illustratorの特徴
Illustratorはベクトル形式で描写します。複雑な画像よりも、主にロゴやイラストを作成するツールとして用いられます。
ベクトル形式
画像のアウトラインをアンカーと呼ばれる座標と、セグメントと呼ばれる線や数式によって表す形式です。Illustratorの他に、Canvas、CorelDRAW、Inkscapeなどもベクトル形式を採用しています。
長所
拡大・縮小・変形しても画質が崩れません。
短所
多彩な色表現が苦手です。そのため写真などの複雑な画像を作成する際は向いていません。
図形作成のポイント
Alt(Option)+ドラッグ
Alt(Option)+ドラッグを押しながら描くと、中心から描けます。
Shift+ドラッグ
Shift+ドラッグを押しながら描くと、縦横比を固定して描けます。
↑↓キー
ドラッグ中に↑↓キーを押すと、オブジェクトの角の増減ができます。
パスの構造
直線による図形は、アンカーポイントと、ポイント同士を結ぶセグメントで構成されています。楕円のような曲線による図形は、アンカーポイントから方向線が伸びています。
ダイレクト選択ツールにてアンカーポイント、セグメント、ハンドル(方向点)を移動することができます。
段落パネル
1.インデント
字下げの設定をします。1行目左インデントに、文字サイズ1字分の距離を指定すると冒頭1字下げの体裁になります。
2.間隔の調整
段落前の空きを調整します。
3.禁則処理
「、」「。」や()、約物などを行頭や行末にくることを禁止する処理を禁則処理と言います。「強い禁則」では「ゃ」「っ」などの拗促音や「ー」も禁則処理対象になります。
4.自動ハイフネーション
英文の長い単語が行末にきた場合に、単語の適切な箇所にハイフンを挿入します。
文字パネル
1.フォントサイズ
フォントサイズを設定できます。
2.行送り
行送りを設定できます。日本語の場合、読みやすいサイズは文字サイズの50%と言われています。行送りでいうと1.5倍になります。(縦読みは50%~100%、横読みは50%~75%に設定すると読みやすいです)
3.垂直比率
文字の通常の高さを基準にして拡大、縮小します。
4.水平比率
文字の通常の幅を基準にして拡大、縮小します。
5.カーニング
カーニングとは、文字同士の間隔を調節する技法のことです。カーニングを行わない場合、文字の間に不自然な空白を招いてしまうこともあります。また、文字間隔が等間隔でも不自然に見えてしまう場合もあり、その際は不均等に間隔を広げることでバランスよく読みやすいテキストに認識されます。調節する際は目視で文字列を確認しながら行います。
操作方法は、文字と文字の間にカーソルを置いて、個々の文字間隔を詰めたり空けたりします。タイトルや見出し文字など、大きいサイズで文字組みする場合に使用したりします。
6.自動カーニング
文字全体を選択して「メトリクス」や「オプティカル」、「和文等幅」を選ぶと、文字幅に応じたカーニング設定が自動で行うことができます。
メトリクスカーニング:フォントデザイナーが計算した文字ツメを行います。ペアカーニング情報(Wa、We、Ya、Yo、Taなど文字間に関する情報が含まれた物)に基づいて最適な文字詰をします。
https://www.thinkforme-design.com/post/metrics-optical_02
オプティカルカーニング:Illustratorが判断して文字ツメを行います。隣り合った文字間を、文字の形に基づいて調整することができます。ペアカーニング情報が含まれていないフォントの場合、こちらを使用します。日本語フォントではペアカーニング情報を持ったタイプはほとんどありません。
https://www.thinkforme-design.com/post/metrics-optical_02
7.トラッキング
複数の文字を選択して、一律に文字間隔を詰めたり空けたりできます。
8.文字ツメ
文字と文字との間隔を詰めます。間隔を空けることはできません。
9.アキを挿入
文字の前後左右に空きを設定することができます。
10.ベースラインシフト
ベースラインの位置を文字ごとに設定することができます。
11.文字回転
角度指定で文字を回転させることができます。
12.グリフにスナップ
文字にスナップを設定すると、オブジェクトを文字に近づけた際にガイドラインが表示されます。
詳しくはこちら:オブジェクトをグリフにスナップ
様々なツール
はさみツール
アンカーポイントやセグメントの分割したい箇所をクリックすると、パスが分割されます。
ナイフツール
オブジェクトの上をドラッグすると、分割されます。フリーハンドで自由に分割することができます。
連結
オープンパスの端点をくっつけたい時に使用します。くっつけたいアンカーポイントをダイレクト選択ツールで選択し、メニューバーの「オブジェクト」→「パス」→「連結」を選択します。
平均
揃えたいアンカーポイントをダイレクト選択ツールで選択し、メニューバーから「オブジェクト」→「パス」→「平均」を選択します。複数のアンカーポイントを選択して水平軸で揃えることもできます。
リフレクトツール
オブジェクトを線対称に反転します。左右もしくは上下対称にオブジェクトを作成することができます。
シアーツール
オブジェクトを傾けたり歪ませる時に使用します。オブジェクトに影を作りたいときに便利です。
グラデーションメッシュツール
グラデーションメッシュツールは光沢感や立体感を出したいときに使用します。メッシュラインと呼ばれる網目のパスを操作し、高度なグラデーションを作成することができます。
メッシュツールを使ってオブジェクトをクリック、もしくはメニューバーの「オブジェクト」→「グラデーションメッシュを作成」を選択します。メッシュポイントはアンカーポイントと同じように方向線を使って編集できます。
グラデーションの設定
フラット:オブジェクトの塗りが均一でハイライトはありません。
中心方向:オブジェクトの中央にハイライトを適用
エッジ方向:オブジェクトの輪郭線にハイライトを適用
ダイレクト選択ツールでメッシュポイントを選択して色を白に変更すると、光が当たった立体的なオブジェクトを作ることができます。
透明パネル
オブジェクトの不透明度に関する設定ができます。不透明マスクを作成することもできます。
不透明マスクの作成:オブジェクト(四角)の上にオブジェクト(丸)を重ね、両方のオブジェクトを選択します。透明パネルのメニューから不透明マスクの作成を選択します。
ショートカットキー
よく使用するショートカットキーをまとめました。
ファイル
新規ドキュメントの作成 | Ctrl(⌘)+N |
ドキュメントを開く | Ctrl(⌘)+O |
ツールの持ち替え
選択ツール | V |
ダイレクト選択ツール | A |
ペンツール | P |
文字ツール | T |
拡大、縮小ツール | L |
グラデーションツール | G |
画面表示
全体表示 | Ctrl(⌘)+O |
100%(実寸)で表示 | Ctrl(⌘)+1 |
ガイドをロック | Alt+Ctrl+;/Option+⌘+; |
ガイドを解除 | Alt+Ctrl+5/Option+⌘+5 |
定規を表示・隠す | Ctrl+R/⌘+Option+R |
オブジェクト
塗りと線を切り替える | X |
オブジェクトを隠す | Ctrl+3/Option+⌘+3 |
全て表示 | Alt+Ctrl+3/Option+⌘+3 |
クリッピングマスクの作成 | Ctrl(⌘)+7 |
クリッピングマスクの解除 | Alt+Ctrl+7/Option+⌘+7 |
オブジェクトの重ね順
最前面 | Ctrl(⌘)+Shift+] |
前面へ | Ctrl(⌘)+] |
背面へ | Ctrl(⌘)+[ |
最背面 | Ctrl(⌘)+Shift+[ |
おわりに
今回はIllustratorの基本操作の一部についてまとめました。バージョンがアップされると機能も追加されていきますが、基本的な操作は変わりません。ツールがたくさんあるため最初は使い方に迷ってしまいますが、各ツールの意味を理解して使いこなしていけばイラストやバナーの装飾など、様々なタッチで描くことができます。
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